グリズリーさん 旅立つ


シロクマが おいしい季節でやんすよ


お前… シロクマ 食ったこと あんのか?

えぇ 今日も昼に食べましたよ

夏はおいしいんだ

シロクマ!


カワウソが シロクマを!?

ありえねえ! お前 1人でやったのか?

いや いや… 仲間と一緒に


えっ!? 仲間とシロクマを?


クマ食うヤツが俺の店に来るんじゃねえ!

ふざけやがって!

シロクマが あんなヤロウどもに食われるかよ!

今日の昼


シロクマ はじめました?


いらっしゃい

シロクマくん ごめんね

何? パンダくん


僕… 今までシロクマくんのこと シロクマだと思っていたけど

まだ シロクマじゃなかったんだね


パンダくん… 何言ってるの?

表に 「白くま はじめました」って

いや あれはさ…


だったら 今までは ただのシロ? ただのクマ?

白くまっていうのはかき氷の名前だよ


かき氷なの?

そう 練乳かけて フルーツをのせたやつだよ


なんでも 上にのせたフルーツが シロクマの顔に見えたのが由来とか

ペンギンさんの退屈な話はいいから

それ 食べてみたい!

退屈かどうかは 最後まで 聞いてから 判断してほしいね


これが白くまだよ

上から見てね

本当だ!

シロクマだ!


しろくまカフェで 白くまを…

とっても 涼しい感じ?

ものすごく涼しいよ

そして現在


ウソだろ!? シロクマ!


ほら! ガセだ ガセ


マジか! マジだったのか!!

ごちそうさまでした

あぁ… そんな!


「白くま はじめました」

「はじめました」じゃねえだろ お前!

人生 終わっちまってんじゃねえかよ!


やっぱり ムリですよ! ハバネロは… 辛すぎます

そう? 結構 クセになるよ ハバネロ


シロクマ… お前とは ガキの頃からのつきあいだったよな

ハ… ハチミツ 食べたい!

大丈夫かよ? シロクマ!


頑張れ!

ワカサギ 食べたい!

大丈夫かよ? シロクマ…


キノコ 食べたい!

大丈夫かよ? シロクマ!


なんか ろくな思い出がねえな…

とはいえ 懐かしい思い出だぜ


あぁ… ダメだ!こうしていると お前のことばかり思い出しちまう

シロクマ!


ビール買う?

持ってきたよ ほい

それは リール

ダジャレ!


シロクマ!

孤独よ… 俺の悲しみを癒やしてくれ


クマだ!かわいい!

何してるの~?

こっち向いて~


ねぇ グリズリーさんのお店 ずっとお休みしてるって ホント?


旅行にでも行ってるのかも

旅かぁ… やっぱり ワイルドな旅なんだろうね


おそらく

あてもなく 北へと向かうグリズリー


ふと立ち寄った居酒屋で…

どうぞ

頼んでねえぜ?

サービスですよ


お客さん 旅の方でしょ?

わかるかい?


都会のニオイがしますよ

…と そこへ現れる 人相の悪い男

よう 女将! 今日も来てやったぜ


帰っとくれ! アンタが来るおかげで 他のお客さんが 寄りつきゃしないよ


生意気な口をきくと タダじゃ…

出ていきな 文句があるなら 俺が相手になるぜ

すみません!


ありがとうございます

サケのお礼さ

それがきっかけで グリズリーは居酒屋の用心棒になった


女将の幼い子供たちも懐き…

グリズリーおじちゃん

近所のお年寄りたちとも馴染み…


悪いね

気にすんなって

いつしか グリズリーはなくてはならない存在になっていた


パンダくん そんな リアリティーのない話を 本気にしちゃダメだよ


まさか こんな展開になるとはな

グリの兄貴も一緒にどうっすか?

シャケをサカナに おシャケを一杯… なんつって!


シロクマ…

ちょっと! ダジャレはダメだって言ったでしょ

すみません…


しょせん俺たちは弱肉強食の世界を生きる者


もう 俺は泣かないぜ!


また いつでもおいで おじちゃん バイバーイ!

あばよ シロクマ!


この店は俺が引き継ぐ!

どうしたんですか? 急に

アイツの代わりが務まるのは 親友の俺しかいねえだろ


俺が シロクマ始める!

しろくまカフェの店長やるの?

今日から マスターと呼びな


グリズリー バーは?

やる! 昼も夜も働く!

いつ 寝るんですか?

合間に寝る


ダジャレだってやるぜ! 何しろ 俺が この店の…


シスターだろ!

それじゃあ…


イースターだろ!

それじゃあ これで どうだ?


ポスターだろ!

これは ダスター

ダスターで 顔拭くんじゃねえ!


テメエ なんで生きてるんだよ!

お母さんが産んだから

そうじゃねえ!

お前 カワウソに食われたんじゃ!?


ちは~ 今日も 白くま 食べにきたでやんす


どういうことだ!


まぎらわしい名前 つけてんじゃねえ

ったく… 驚かせやがって

悲しみにくれた 俺の時間はいったい…


思い出すと泣いちゃうほど ショックだったの?

キーン! ってなってんだよ!