カフェの怪談
笹子さん 今日の夜 あれやるよ
えっ!? あれ ホントに やるんですか?
何? あれって…
ほら 夏の定番の…
定番?
それは 黒板
それは 食パン
それは 海パン
それは 階段
大当たり!
怪談やるよ
これでだいたい揃ったかな
僕 帰ってもいいですか?
怖い話 聞きたいっていうから 連れてきたよ
苦手だって言ってるのに…
ロウソクは これでいいですか?
うん
そんなのいらないですよ!
ほら~ やっぱり こうなっちゃう
ムードがあって いいんじゃない?
しろくまカフェ怪談ナイトにようこそ
帰りたいな
帰り道に おばけが出るかもしれないよ
なんでそういうこと言うの!?
わかりましたよ! いますよ
始めようか
じゃあ 僕から
これは 僕が実際に体験した
動物園のラマコーナーで 起こったことなんですけど
その夜 ラマコーナーには 残業していた 僕しかいなかったんです
僕が いつものように 草を食べていると
ふと 何かの気配を感じたんです
け… 気配?
けど 他のラマたちはいるはずがありません
錯覚だろうと思って 僕はまた草を食べ始めました
ところが… やっぱり何かの気配を感じます
その気配は どんどん近づいてきて
ついに 僕のすぐ後ろに…
僕は 思い切って振り返ったんです
そこにはいるはずのない
シマウマが…
いるはずのない シマウマの姿は
次の瞬間 跡形もなく消えていました
あぁ~!!
あれ? 怖くなかったですか?
シマウマの霊ですよ?
なんか シマウマの霊って言われても ピンと こないっていうか…
僕は話してるだけで ゾッとしますよ
シマウマ… シマウマ…
全然 怖くないよ じゃあ
次 僕ね
パンダくん?
あっ! 寝てる!
パンダくん!
あっ 暗いと眠くなるね
頑張ろうよ
こないだの夜 僕がベッドで寝ようとしたとき…
あれ? 何時頃に寝たんだっけ?
いいよ そこは何時でも 続けて
けど 今が眠いよ
頑張ろうよ パンダくん
わかった!
僕が ベッドで寝てると
枕もとで変な音がしたんだよ
変な音っていうのは どんな音かな?
僕に聞かれても困るよ
どんな音だったの?
忘れたよ
パンダくん もういいから… キミ 聞いてて
じゃあ 僕が話すよ
去年の夏のことだけど…
やめて!
まだ 何も話してないのに
顔 怖すぎ!
じゃあ 僕が…
ゾウガメくん 頼むよ 思いっきり 怖いやつ
動物好きの~
タカシくんは~
ペース 上げられないかな?
わかった~
タカシくんが亡くなりました~
お母さんは 毎日 お墓に
タカシくんが好きだった パンの耳を持っていきました~
もう オチ いこう 終わらないから
うん
ある日 お墓から声が…
お母さん… もう パンの耳は飽きたよ
じゃあ 何がいいの?
それは…
お前の耳だ~
あれ?
寝てた~?
遅いんだな 怖がるタイミングを逃しちゃうよ
み み… 耳! 耳!!
半田さん よく怖がれるね
じゃあ 次は 僕が話すよ
あるペンギンが体験した
皆さんの知らない世界の話を お聞かせします
そのペンギンが あるパン屋に 出かけたときのことです
そこには 1人の 看板ペンギンの女の子がいました
彼女に会うため ペンギンは 毎日 毎日 パン屋に通いました
ところが ある日
1人だと思っていた ペンギンの女の子が
7人いたのです!
それは 怖かっただろうね
怖かった…
けど そういう 怖いのじゃなくて…
怖いのは おばけじゃなくて ペンギンだよ
大変なんだね ペンギンさん
つらいよ 毎日が
実は 僕にもつらくて怖い話があるんだよ
そうなの?
そう
あれは…
その昔 僕の毛が まだ 黒かった頃のこと
ちょっと待って!
なんだろう? その話…
待たなくていい?
うん という答えも待たずに 話は続くんでしょ?
ある日 川で 鮭をたくさんとったあと
お腹がいっぱいになって 昼寝していた 僕の耳もとで何か音がした
なんと ネズミが 僕の耳をかじっていた
あまりの恐怖で…
こうして 僕の毛は白くなった
だから僕は今でもネズミが怖い…
待って!
別の意味で怖いよ その話
ダメ?
ダメ!
どういう意味?
知らなくていいの
ネ… ネ… ネズミ… ネズミ…
半田さん いいお客だな
じゃあ 次 笹子さん
私 あんまりうまくないんですよ
怖い話とか苦手で…
あっ! ぼ… 僕も同じです
あ… でも 笹子さんの話 聞いてみたいな
じゃあ ちょっとだけ
と 振り返ると…
やめて~っ!
怖すぎるね…
もういい!
けど ここからが怖いんですよ?
ごめん… もういいから
半田さん!
じゃあね 半田さん
もし おばけ見たら 電話してね
バイバーイ
やっぱり 今日は 誰かと一緒に帰ろうかな
半田さん
半田さん 1人で帰るの 怖いんじゃないですか?
あ… それは…
でしたら… 私でよかったら 送っていきますよ
あ… じゃ… じゃあ…
そうですか
僕 半田さんと 方向 一緒ですから
それなら 僕が 送っていきますよ
あ… けど…
気にしないでください
それじゃあ ラマさん 半田さん また
また
また…
ねぇ これでよかったのかな?
よかったんじゃない? 怖くなく帰れて
半田さん ラクダの霊って 見たことありますか?
えぇ? ないよ
僕 この前 トイレで見たんですよ
えっ そうなの!?